又吉直樹
『生きとるわ』
🗓 2026年2月28日
控えめな関西弁の語尾がにじむ、「僕」という一人称で語られる小説だ✍️
語り口は穏やかでありながら、文章はどこか精緻で、読み進めるうちに古典小説に向き
合っているような感覚を覚える。
ところが途中で、映画🎬『青春の殺人者』といった固有名詞が現れる。
その瞬間、評者(57歳)は気づく。これは、自分も確かに「生きていた」時代の物語
なのだと。舞台は、阪神タイガースが優勝した年の大阪⚾
街の空気には酒の匂いが充満し、湿度のある記憶が立ち上ってくる🍶
語り手「僕」の名は岡田善人。
職業は公認会計士。堅実な肩書とは裏腹に、妻との関係性はどこか冷え、人生は静かに
澱んでいる。
そんな日常に、かつての悪友との縁が差し込むことで、
「まともに生きてきたはずの人生」が、じわじわと揺さぶられていく――。
本作『生きとるわ』は、
✨成功でも挫折でもない
✨派手な事件でもない
それでも確かに存在する
**「生きとる実感」**を、読者の足元から問い直す一冊だ。
🎭 芸人であり、芥川賞作家でもある 又吉直樹 ならではの、
笑いと寂しさが同居する人生描写が、静かに胸に残る。
📚 年齢を重ねた読者ほど、
そして「無事に生きてきた」と思っている人ほど、
価値観をそっと揺さぶられるだろう。
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